僕は週3~5ペースで朝晩で片道10㎞~15㎞くらい (日によって場所が違う)のチャリ通をしています。大体片道30分ちょい~1時間弱、目的はもっぱら、電車が嫌なのと交通費削減です。
最初はダイエット効果も期待しました(むしろそれがメイン)が、現在は「チャリ通のダイエット効果はほぼ無い」というのが結論です。僕のチャリ通ダイエットは失敗に終わったのです。
一方、「ロードバイク ダイエット」等で検索すると、様々なサイトが出て来ます。曰く
・20㎞/hで1時間走った時の自転車のカロリー消費量は400Kcal以上!
・1時間あたりのカロリー消費量はなんと水泳並み、ジョギングより多い!
・通勤時にも体力を使わず長く続けられる!
書いているのはほとんどクラウドソーシングの代筆かアフィリエイト目的の引用記事、つまり巷にあふれた内容の寄せ集め、再利用です。医学的な権威ある人が監修してても、別に自転車に乗っている訳ではなく、あくまで20㎞/hで1時間400Kcal消費などのデータを前提とした考察です。
耳障りの良いフレーズでチャリ通を始めてすぐ下げ止まりし(最初の一瞬は痩せる)、「あれ、思ったより痩せないな」と思って食事制限に手を出した結果痩せるのはチャリ通ダイエットではなく、もはや食事制限ダイエット。米を抜きゃあガンガン痩せるのは当然。基礎代謝を下回る摂取カロリーで生活すりゃ自ずと体重は減ります。
あなたはきっと、食事制限だけでも痩せてるよ。
そんな「自称:チャリ通ダイエット成功例」の何と多いことか。
ちょっと棘のある書き方ですが、「マジでチャリ通のみ、食事制限その他なし」って成功者はほんとに少ないです。どこかで何かの努力がある。ダイエットなんで当たり前です。
誤解の無いように補足しますが、食事制限は「食事療法」としてやると立派なダイエットだと思います。僕の知人は晩ご飯をヨーグルトだけ(朝昼は糖質もしっかり摂る)にして特に運動もせず、1年で15kg近く減りました。リバウンドもしてません。すごく立派な意思力だと思います。僕にはできそうにありません。
でも、じゃあ、「20㎞/hで1時間走ったら400Kcal消費」そのものがそもそも嘘データなのか?チャリ通だけで痩せる事は不可能なのか?
一度は巷にあふれるチャリ通ダイエット情報に踊らされ、それでも「ロードバイクなら食事制限しなくてもダイエットできる」と信じるデブが、自分の失敗の理由を顧みつつチャリ通ダイエットを考察してみます。
チャリ通ダイエット失敗の理由その① そもそも20㎞/hが出せない
信号などで一時停止しても脂肪燃焼が止まる訳ではないらしいので、1時間チャリ通して脂肪燃焼ゼロってことは無いでしょう。
でも、ちまたの情報に出てくる「20㎞/hで通勤」ってのがクセモノ。
耳障りの良いまやかしの言葉です。
目標となるカロリー消費量を稼ぐには、「だいたい20㎞/hあたりのスピードを目安に走る」ではなく、最低でも「グロス平均20㎞/h」である必要があります。
(グロス平均=移動距離/経過時間)
10㎞なら30分以内、20㎞なら1時間以内です。
平日昼間の車道沿いならともかく、通勤時間滞の車道は意外とママチャリ・逆走オンパレードです。そして街中に入ると集団登校中の小学生、ゴミ出しがてらくっちゃべる奥様方、遅刻しそうで交差点から飛び出す高校生など減速要因が様々にあります。
そんな中でこの20km/hの条件を達成するには、どこかで30㎞/h近辺の速度を織り交ぜて減速・停止分の帳尻を合わせないと結構なムリゲー。
もちろんコースによるでしょうが、僕は急に走り出す小学生、ママチャリ爆走高校生、チャイルドシート付きノールック右折若奥様とガチ被りするルートが多いので、朝の10km30分切りはまず不可能です。
安全第一。横断歩道で旗を持つおじいちゃまに睨まれたらたまったもんじゃありません。ちゃんとあいさつしましょう、今日もおはようございますー。
たまの自転車がいない車道で頑張っても、チャリ通オンリーであれば30㎞/hは心拍数が上がってほぼ無酸素運動状態。「有酸素運動が目的、無酸素はやるだけムダ!」と信じる僕らは減速せざるを得ません。
逆に20㎞/hあたりを目安に走れば、1時間走った平均速度は15㎞/h行くか行かないかに落ち着きます。もっと遅いか。
消費カロリーは推して知るべしです。
チャリ通ダイエット失敗の理由その② 乗り方で消費カロリーは変わる
さすがに20㎞/hで1時間=400Kcal消費とかのデータまではウソじゃないと信じたい。が、どんな乗り方した時の数値かは怪しいもんです。まやかしの言葉パート2。自転車は乗り方で消費カロリーが大きく変わるのです。たぶん。
正しい姿勢、間違った姿勢
めっちゃ速い人の後ろ姿を観察すると良く分かりますが、腰から上が全くブレてない。ビシッと走ってます。そして肘がやや曲がった完全な前傾姿勢。
一方僕らは、ペダリングに合わせて左右にゆらゆら体を揺らし、上体がフラフラ、フラフラしています。肘は突っ張り、背筋は45度でハンドルに体を預けます。
後者、チャリ通初心者の運動エネルギーの大半は重力。ペダルの反発を体重のサポートで押し込み、前に進む力に変換しています。
前者のロードバイク乗りは、腕の力でハンドルを腰側に軽く引きつけるようにしたり腹筋に力を入れたり、なんやかんやして体幹で体を支えています。だから腰がガッチリ。固定した腰からの脚力をフルに運動エネルギーに変換します。
「なんやかんや」と書いたのは正確にどうと言える知識もスキルも無いからです。残念!
ただ、初心者が持つ漠然としたイメージでは、はじめの一歩が安定した下半身を土台に強力なパンチを繰り出すように、ローディーは安定した上半身を土台に強力なトルクを生み出すんでしょう。
姿勢ってなんか奥が深そうなので色々足りない所もあるでしょうがこれをとりあえず便宜上、「正しい姿勢」と呼ぶことにします。
正しい姿勢の効果
実際にこの姿勢を初心者ながら猿真似して走ってみると、自然とお尻が浮き、腹筋、特に腸腰筋と呼ばれるインナーマッスルと上腕三頭筋(力こぶの反対側)、そして太ももの裏側、ハムストリングスあたりに適度な負荷がかかるのが分かります。
この姿勢を維持した時は体力の消耗を感じ、長時間維持するのは厳しいです。あ、コレ、要は筋トレだ。軽い筋トレしながらチャリ乗ってる。って思います。 なお、この姿勢にするとなんか勝手に速度が上がります。すげー。効率的なパワー伝達をする姿勢なんでしょう。あとは空気抵抗?よく分からんけど速くなる。すげー。
さて、METs(カロリー計算のための運動強度の定義)には、サイクリング(19.3-22.4km)は「ほどほどの運動」や「ややきつい運動」と訳されます。原文の「moderate effort」は、「頑張る」と「頑張らない」の中間くらいと想定されます。「ちょっと頑張る」light effortの次です。
「ほどほど」というどちらとも取れる微妙なニュアンスの言葉はさておき、平坦な道で楽な姿勢のままロードバイクに乗って、20㎞/hで「ややきつい」と感じる人はまずいないでしょう。
とすると、おそらく20㎞/hでこの「ややきつい」「正しい姿勢」の維持がカロリー消費上の正解と思われます。しっかり全身の筋肉使ってるのを感じるし、全身運動である水泳と並んでも違和感ない、かも知れません。
10㎏も無い軽い自転車で、どっかり座った楽な姿勢で、体重を使って漕いで20㎞/hで通勤しても、ほどほどの運動にすらならずカロリーは消費されていないのです。まぁ、普通に考えてそりゃそうでしょうよ。
ちなみに僕はお尻が軽く浮くレベルの前傾姿勢は15分くらい維持すると「軽い筋トレ」状態から「きつい筋トレ」状態になるので、めんどくさくて停車・減速が頻発する通勤のときはやりません。ある程度の距離を走る時にサボる姿勢を織り交ぜながら走ります。ゆったり泳ぐくらいの消費カロリーにはなっててほしいなぁ。
チャリ通ダイエット成功の要件とは?
以上が僕なりに結論付けたチャリ通ダイエットが失敗する理由です。きっと僕たちは20㎞/hで走れていないし、400Kcal消費する運動もできていない。体感も踏まえて理屈的には大体合ってるんじゃないかなと思います。
そして、この2点を掛け合わせると、初心者が自転車に乗った時の実際の消費カロリーって実はめっちゃ少ないんじゃないでしょうか。
ネットの諸説はサイコンや心拍メーター(ハートレートセンサーがダイエットに要るかぁ?)、プロテイン/サプリ等のアフィリエイト商品の購買意欲促進やSEO対策などのためにデータを独善的に解釈したまやかし・幻想で、データそのものに罪はない。たぶん。
あ、アフィリエイト広告にも罪は無い派ですよ。僕もそのうちやると思いますし。
チャリ通ダイエット成功のための要件
ということで、チャリ通でカロリーを消費し、ダイエット効果を獲得するには、最低でも下記要件を達成している必要があると思われます。
・急加速から30㎞/hを維持する程度では呼吸が乱れない心肺能力で、グロス20km/h以上で走る。
・体幹が安定し、通勤時間中正しい姿勢を維持したまま走り続けることができる。
あと、25km/h~30km/h出しても周りの人に危なくないコースが十分にあるってのも重要ですね。車道を走るママチャリ、逆走も多い通勤時間帯はこれもけっこう難関。
これを達成できれば、おそらくグロス20㎞/h×1時間でもそれなりのダイエット効果が期待できるんじゃないかと。
でも、これはチャリ通初心者が1回1時間の通勤で身につけるのは難しいスキル。ある程度まとまった時間でしっかり走って練習する必要があります。
ならチャリ通ダイエットを成功させるために、休みの日にしっかり走って練習しましょう。チャリ通ダイエットのための長距離・長時間ライド。もはや目的と手段があべこべですね!
で、ここまで来ると「チャリ通に期待するより週末ガッツリ走った方が良くね?」となる訳です。
結論:チャリ通ダイエットではなく自転車ダイエット
はい、「初心者がチャリ通だけで痩せる」は幻想という結論が出ました。
往復40キロ×週5とかだとある程度は効果ありそうですが、20キロ×週5未満じゃお昼ごはんでイーブン、ちょっと贅沢すればたちまちプラス。
他にギア軽くしてひたすらケイデンス上げるって説も良く目にしますが、姿勢が決まってない初心者がやるとケツが跳ねまくってロクに乗れないし心拍も上がるので、これまた練習が必要。
理屈の上ではきっと可能なんでしょうが、実践するためには練習が必要。
これはもう「チャリ通deダイエット」ではなく「自転車deダイエット」です。通勤以外のライドの方が圧倒的に消費カロリーが多い。おそらく、1時間以上の姿勢維持が楽にできるようになる頃には既に痩せてることでしょう。
長距離ライドが嫌orチャリ通以外の練習時間が無いなら晩ごはんから米抜くか、ジョギングしましょう。ジョギングは短い時間で自分を追い込めるので運動効果としては最適だと思います。
僕は米もビールも抜きたくないし、ジョギングは膝が痛いので、時間と距離でカバーを試みるのでした。
自転車ダイエットについてはこちらをどうぞ
終わり。
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