何番煎じやねん、っていうね。自転車と消費カロリーについて。
そもそもは、先週の五月山ライド108km(21㎞/h 5時間)と過去の嵐山往復97㎞(26㎞/h 4時間)の消費カロリーがほぼ同じってところから「そんな訳あるかいな」と思って整理し始めたんですが、消費カロリーって考えれば考えるほどバカらしいですね。自転車の場合は特に。
自転車の消費カロリーはあてにならない
まず結論。自転車の消費カロリーはたぶん測定不可能です。「何を今さら」って人もいっぱいいそうですが。
消費カロリーの計算式 = METs × 体重 × 運動時間 × 1.05
これが一般的な消費カロリー計算の計算式です。国際標準、「こうやって計算しましょうね」という基本ルールです。デファクトスタンダード。どうやらサイコンによって年齢の係数があったり最後の1.05を掛けなかったり色々細かな違いがあるらしいですが、基本的にはこの式のベースから外れることはありません。ルールですから。
カロリー消費量は運動強度「METs」を用いて計算されることになっています。自転車の場合のその「運動強度の定義」が下記ですが、このMETsが速度規準になってる時点でどう考えてもおかしい。
極端に言うと、サドルに一切触れずに前傾姿勢(ダンシングではない)で漕ぐ10㎞/hと、重心ごとペダルに乗っけて体重で漕ぐ25㎞/hでは、運動強度や体感消費カロリーは
サドルに一切触れない前傾姿勢の10㎞/h > 体重で漕ぐ25km/h
になるはずです。やってみれば分かります。
上の例は極端すぎるかもしれません。
じゃあ10m/sの向かい風で20km/hで走るのと無風の25km/hで走るのはどっちが消費カロリー高いか。前者でしょう。15%の勾配を10km/hとマイナス15%の下りを45km/hでは?これも下りの方がキツいって人はいないはずです。
7kgぐらいの高級車に1.5kg以下の高級ホイール履いて走る30km/hと、10kgをギリで切ったエントリークラスの自転車&2.0kg以上の鉄下駄ホイールで走る30km/hでは、消費カロリーが同じだとは到底思えません。(車体重量を加味して計算するサイコンもありますが、本旨はそこじゃない。)
風、勾配、道路の状態、何より機材。速度の変動要因が多すぎる自転車では、少なくとも速度は運動強度の規準になり得ないと言えます。
しかしながら自転車における係数METsは、速度を規準に設定されています。
正しいか間違っているかではなく、そうやって計算するように決まっている、ということです。
こうなってしまうと自転車のカロリー計算式は、実際の運動強度に関係しない破綻確定の計算式です。METsはもはや変数x。未知数の入った計算式の結果がサイコンに表示される自転車の消費カロリー数値の正体です。
METsはだいたい20までくらいの値。上の表で、6.8と12.0なら消費カロリーはほぼ倍違うことになります。状況で19km/hと30km/hの運動強度が逆転するなんてことは別に珍しいことでもない(むしろ頻繁に起こる)ので、誤差どころか参考にすらならないレベルの変動も起こり得る。
坂、風などの要因は運動時間の短いランニングなどの他のスポーツなら誤差の範囲で吸収できるかも知れませんが、一回当たりの運動時間が長い自転車では、その差はますます広がります。
そんな数字アテにしてちゃ痩せない人も痩せる人もバラバラな訳だ。
STRAVAの「エナジーアウトプット」はアテになる?
じゃあどうやって運動強度や消費エネルギーを測るのか。
他にあり得るのが「パワー」ですね。シンプルに、ペダルを回す力の強さ。ザッツまさしく強度です。
Stravaには、パワーメーターを導入しなくても傾斜や体重、速度などをなんやかんやして(多分統計データとかも踏まえて)計算してくれる「推定パワー」という項目があります。 まぁ推定なんで話半分に見るにしても、実際頑張ってた箇所では速度が遅くてもパワーが出てます。
STRAVAには、この「推定パワー」(パワメ付きならちゃんとしたパワー)を使って計算される「エナジーアウトプット」という項目があります。
パソコンでSTRAVAにログインしてログを確認すると、この「推定パワー」(パワメ付きならちゃんとしたパワー)を使って計算された「エナジーアウトプット」という項目が表示されます。スマホアプリでは表示されません。
これは、パワー(w)をもとにして計算した「そのパワーを生み出すのに必要なエネルギー(kj)」を、 総代謝効率を21%として逆算したもので、そのエネルギーを作り出すために必要になった総エネルギーのことだそうです。ややこしい。
ざっくり言うと10kjのエネルギーが必要になるパワーを生み出すには50kjのエネルギーが必要って事らしいです。
感覚的には上の一般的なカロリー計算式と全く異なるアプローチから消費されたエネルギーを計算していて、傾斜やその他の抵抗が強ければ出力が上がる「パワー」を根拠にしており、実際の消費カロリーと近いと思っていいのかもしれません。
※結果的になんとなくそんな値になる、というだけです。
でも少なくとも、カロリー計算で感じていたような「獲得標高やトルク、その他運動強度が違えば消費カロリーが同じであるはずがない」という違和感は説明できそうには思いました。
ちょうど180㎞のライドが2つあったので比較してみます。
きつくないとはいえ坂(天ケ瀬ダム、琵琶湖大橋など)ほどほどありの180㎞(上)と、サイクリングロードド平坦の180㎞(下)の比較です。
30分の時間差は平均速度の差でほぼ吸収されてカロリーはほぼイーブン。一方、大きく差がでている平均推定パワーのせいで、エナジーアウトプットにはけっこう差が出ているのが分かります。
その差約1.7倍。相当な差です。
うん、実際自走プチビワイチの方が圧倒的にお腹が減ったので僕の腹時計的にも納得の結果です。
でもこの「パワー」という値も200wやそこらだと体重の使い方次第で何とでも変わりそうなんでこれも純粋にエネルギー消費の基準として見るのはどうかなぁ、とは思います。(300w、400wの豪脚さんは別。)
まとめ
ということで、消費カロリーは見るだけ無駄、目安にならない値をアテにするのは止めましょう。 エナジーアウトプットもあくまで目安。数字に踊らされてはならない。
ロードバイクは、時間と乗り方によっては膨大なカロリー消費量を稼ぐことができます。食いまくっても体重は減るので、たぶんこれは事実。
でもサドルにどっかり座って、体重をハンドルに預けて、ケツも手も痛くなったからそれなりに運動した気になって「今日は2,400Kcal消費したから、基礎代謝1,800Kcalと合わせて3,000Kcal食べてもカロリー収支マイナス1,200Kcal♪」とかもっての他です。
ええ、ちょっと前の僕のことです。
食って太るなら、全身運動を意識してもっと乗ればいい。信じるべきは、己の腹時計です。
他に摂取カロリーとか基礎代謝とかも疑い満載なんですが、それはまた別の機会にします。
以上、90㎏切ってちょっと調子に乗った記事でした。まだ90㎏デブのくせに!!
後記
この記事書く時に、Stravaで同じくらいの速度域で走行距離100㎞くらいの人のライドデータいろいろ探したけど、みんな表示2,000Kcalとか・・・。1,500Kcalくらいの人もいる。これってたぶん体重差だよね・・・。
誰かネット26㎞/hくらいの平地100㎞で3,000Kcalくらい出ちゃってる人いませんかー・・・。
一緒にダイエット頑張りましょー・・・。
あ、ていうかこれ逆算したらだいたい体重バレるやつですね。女性の方や「最近太ってさー」とかいうメタボ詐欺師はくれぐれもStravaの公開にはご注意ください。なんか明らかに自宅スタートしてる人もいるし、危ないですよ。
終わり。
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